エゾウコギとは?
エゾウコギとは、日本の北海道に自生するウコギ科の落葉低木で、ロシアでは「エレウテロコック」、中国では「刺五加」と呼ばれています。
自生するのは北海道のほかに、シベリア、中国の東北地方、朝鮮半島などの地域になります。
ロシア(当時のソ連)における薬草の研究によってクローズアップされた植物ですが、それ以前よりアイヌの人たちには神聖な植物として珍重していました。
薬効が知られる前は、嫌われものだった
効能が知られて以降、栽培がおこなわれるほどになったエゾウゴギですが、実は葉や茎には鋭いトゲが密生してて、開拓のために畑を切り開く時にはケガをすることが多く、また強い再生力をもつため焼き払っても地下からすぐに芽を出してくる「嫌われもの」だったのです。
エゾウコギの効能って?
現在では漢方生薬やサプリメントとして知る人ぞ知る人気の存在となっていますが、期待されている効果とはどのようなものなのでしょうか?
疲労回復&体力増強作用
薬物による疲労回復の効果は大きく「促進作用」と「強壮作用」にわけられています。
促進作用とは1回の投与によって生命活動が活発になるような作用をいい、強壮作用とは継続的に投与することで作用が現れ、さらにその作用が長期間にわかって続くことをいいます。
エゾウコギはこの両方の作用をもった物質であり、これだけの作用がある上に副作用がないのは、朝鮮人参以外ではエゾウコギしかないと旧ソ連の研究者によって発表されています。
エゴウコギによって疲労回復が早まることは、スポーツ選手たちの実験によって明らかにされていますし、体力そのものを増強させることもネズミなどの実験で確認されています。
1980年にイギリスの権威のある科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」に下記のような論文が掲載され、スポーツ界で大きな話題になりましたが、この正体がエゾウコギエキスなのです。
モスクワ五輪で金メダルを独占したソ連の選手たちは、朝鮮人参と同じ種類の植物から取り出したエキスを飲んでいた。このエキスは、反射神経を鋭敏にして、持久力や集中力を高める効果があるらしい。禁止薬物には指定されていないが、こうした薬物を使っているのは不公平である
ストレスから身を守る
私たちが生きていく上で、ストレスを全てなくしてしまうというのは不可能です。
しかも、現代はストレス社会と呼ばれるほどストレス過多の時代ですので、ストレスに強い身体をつくることが必要ですが、エゾウコギにはストレスに強い身体を作り、身を守る作用があることが確認されています。
免疫力の向上に寄与
旧ソ連の動物実験では、エゾウコギが免疫力を高めることも確認されていますし、また、ヒトにおいて”エゾウコギのエキス少量を13日間服用すると、その期間だけでなく、2~3カ月間にわたって一般羅病率(主として風邪など)を著しく低下させた”という研究データもあります。
また、新陳代謝の活性化、うつ・自律神経、神経症などにも効果が期待されています。
エゾウコギの摂り方
エゾウコギは根・茎・葉すべてに有効成分がありますし、根皮だけでなく、葉や茎からも同じようにエキスを取り出すことが出来ます。
健康食品やサプリメント・漢方だけでく、根皮や材部を細かく砕いて普通の煎じ茶のようにエゾウコギ茶として飲むのもよいでしょう。
副作用などの安全性について
副作用が殆どなく、安全性が高いとされるエゾウコギですが、副作用として、軽い眠気、不安、憂うつなどが起こることが場合があります。
国立健康・栄養研究所のデータによれば、「エストロゲン様作用がある」とされていますので、乳がん・子宮がん・子宮筋腫などホルモン感受性疾患の方は摂取を避けて下さい。
また、ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)は、高血圧患者には使用しないよう指示していますので、摂取を希望される際には事前に医師に相談しましょう。