果物を用いたジュースの不思議
ちょっと気分転換に普段は気付かない謎について紹介したいと思います。
タイトルには”フルーツジュース”と書きましたが、天然ジュース?果実ジュース?フレッシュジュース?とそんな点からすごく悩みました。
また”フルーツジュース”を、ドリンク?飲料?の方が分かりやすいのでは?とも思い、あらためて現代におけるモノの表現の多さに悩むばかりです。
透明なものと濁ったものの違いとは?
主に果汁100%の天然ジュースの中には、ブドウやアセロラなどのジュースのように透明なものと、オレンジやパイナップルなどのように色が薄くて濁っているものがあります。
これは、それぞれの果実が持っている色素の種類と性質、そして量の違いが関係しています。
ブドウやイチゴなどのベリー類の赤や紫の色は、ポリフェノール類のアントシアニンによるものであり、一方でオレンジなどの柑橘類やパイナップル・トマトなどの場合はカロテノイド類の色素の色なのです。
ポリフェノールとカロテノイドを混同してしまうことがあるとおもいますが、実は、植物が紫外線の害や虫などから自らを守るために作り出す物質は総称として『ファイトケミカル』といい、その中で「カロテノイド群」「ポリフェノール群」「硫黄化合物群」に分類されます。
(私も当初は非常に頭が痛くなる思いで学びましたw)
アントシアニンは、水に溶ける配糖体の形で果皮や果実に入っており、その量も多いので搾った時に色鮮やかな透明なジュースになります。
オレンジやパイナップルの色素であるカロテノイドは、水に溶けず、果皮の細胞壁の中に潜んでいますので、量も少なく搾っても色が付きません。
そのため、ジュースにする時に色素が吸着している果肉を入れて色付けしていますので、濁ったジュースしか出来ません。
リンゴジュースには両方のパターンがある!
リンゴの皮の色はアントシアニン色素ですが、市販のジュースには透明なものもあれば、濁ったものもありますが、これはリンゴの皮が薄く、また果肉に対する皮の量が少ないため、果汁に色が付くまでに至らないのです。
濁ったものの場合は、果肉に含まれるペクチン(多糖類の1種)という、細かい食物繊維が果汁と一緒に出てきたものです。そこで透明なジュースを作る際には、ペクチナーゼという酵素でわざわざペクチンを分解して濁りをなくしているのです。
ポリフェノールとカロテノイドの違い
「ポリフェノール」も「カロテノイド」の違いを簡単にご説明します。
ポリフェノールは植物の葉・果実などに含まれる色素で「水溶性」の性質を持っています。
代表的なものに、アントシアニン、イソフラボン、レスベラトロール、ルチン、カテキン、ケルセチン、タンニン、ギンコライドなどがあります。
カロテノイドは「植物と動物」両方に含まれている色素で「脂溶性」の性質を持ち、代表的なものに、ベータカロテン、リコピン、アスタキサンチン、ルテインなどがあります。