更年期障害の緩和や改善だけでなく、美容面での効果も期待されている人気のプラセンタは、サプリメントや化粧品にも使用されておりとなっていますが、そもそもプラセンタというものがどのようなものかご存じでしょうか?
プラセンタとはなに?
そもそもプラセンタ(placenta)とは、英語で「胎盤」という意味を持ち、私たちヒトや哺乳類の胎児の発育のためには必要不可欠な組織です。
母体と胎児を結ぶ胎盤は、赤ちゃんを育て上げるという驚くべき機能を持った臓器ですので、「栄養の宝庫」とも考えられます。
「そんなものを摂っても大丈夫なの?」と思われる方も、いらっしゃるかもしれません。
私も、はじめて由来を知った時には「えっ」と驚きました。
ですが、自然界においては肉食動物ばかりでなく草食動物までもが、出産直後の自分の胎盤を食べるシーンが普通に存在しており、栄養豊富な胎盤を食べることで、産後の体力回復に役立てると考えられています。
サプリメントや化粧品、更年期障害の治療薬に用いられるプラセンタとは、栄養素や成長因子(グロースファクター)や抽出したものであり、正しくは「プラセンタエキス」と言います。
プラセンタに含まれる栄養素とは?
三大栄養素 | タンパク質、脂質、糖質(炭水化物) |
ビタミン | ビタミンB群(B1・B2・B6・B12・ナイアシン)、C、E、Dなど |
ミネラル | カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、亜鉛、鉄など |
アミノ酸 | ロイシン、リジン、バリン、グリシン、アラニン、アルギニンなど |
核酸 | DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸) |
ムコ多糖類 | ヒアルロン酸、コンドロイチン |
活性ペプチド | アミノ酸とアミノ酸が結合して2個以上つながった構造の成分 |
酵素 | 約100種類もの酵素が確認されています |
プラセンタに含まれる成長因子とは?
プラセンタの人気の理由は、このGF(グロースファクター)に隠されていると考えています。
EGF | 上皮細胞増殖因子、肌のターンオーバーを活性化など |
FGF | 繊維芽細胞増殖因子、繊維芽細胞の増殖や成長を活性化など |
NGF | 神経細胞増殖因子、自律神経のバランスを保持・神経細胞を増殖 |
IGF | インシュリン様成長因子、細胞分裂や細胞の成長を促進など |
HGF | 肝細胞増殖因子、肝細胞やさまざまな組織の細胞の増殖と修復など |
その他 | 免疫機能などに関与する成長因子(IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、CSF) |
プラセンタの美容効果はGF(成長因子)にあり!
プラセンタは更年期障害の緩和に有効であることで知られていますが、ほかにも多彩な素晴らしい効果があります。
イメージとしては、胎児を育むための「胎盤」の働きを理解すれば、プラセンタが様々な効能を有するのも納得いくのではないでしょうか。
プラセンタのほかにもビタミン・ミネラルなど複合栄養素を有するサプリメントはありますが、大きな違いとしてはGF(成長因子)が含まれているかという点にあると思われます。
とくに有名なものに、EGFとFGFがあります。
EGFとは?
美容系に詳しい方は聞いたことがあると思いますが、実はEGFは医療分野でも有名で、発見当時は1gあたり8,000万円もする高価なもので、皮膚再生医療の分野でしか使用することができない貴重な成分だったのです。
EGFは正しくは「Epidermal Growth Factor」といい、「上皮成長因子」「上皮細胞増殖因子」「細胞再生因子」と呼ばれることもありますが、スキンケア化粧品に配合される際は『ヒトオリゴペプチド-1』と記載されていると思います。
例えば、従来のスキンケア成分は細胞に栄養や水分を与える役割で配合されていますが、EGFの効果は肌の表面にある細胞に働きかけて新しい細胞の生成を急速に促進する働きですので、同じ美容成分としても働き方が根本的に異なってきます。
FGFとは?
FGFは正しくは「Fibroblast Growth Factor」という、線維芽細胞成長因子です。
『線維芽細胞』という言葉も美容系の方はご存じだと思いますが、線維芽細胞とは肌のハリや弾力のもととなるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す源となる細胞です。
加齢とともにコラーゲンやヒアルロン酸が減少することが知られていますが、実際には「繊維芽細胞の老化」によってコラーゲンなどの産出能力が低下すると言われています。
誰でもプラセンタの恩恵が受けられるの?
これがプラセンタなどの複数の栄養素を含有する成分の難しい点です。
ここからは私の経験談になりますが、プラセンタサプリメントを摂った方は「体に合う方」と「体に合わない方」がいます。
合う方にとっては万能サプリメントといえるほど有益なものになますが、合わない方(気分が悪くなる等)の原因の追究は非常に困難です。というか分かりません。
もちろん原料であったり、添加物の影響も考えられますが、これらはメーカーや原材料欄を確認してアドバイスを行えます。
ですが、どの栄養素が体に合わないのか?という点については原因の切り分けが行えませんので、サプリメントで摂取する際には、やはりこれまで同様、最初は少量で体調の様子を見つつ、目安量に近づけていくことが良いと思います。