グルタチオンの美容効果とは?
前回はトリペプチドの構造を持つアミノ酸:グルタチオンの全体的なご紹介をしましたが、今回は特に美容面に注目して、グルタチオンの効果を見ていきたいと思います。
分子中にチオール基(SH基)をもつ還元力の強い含硫アミノ酸:システインを含んでいることで、健康効果だけでなく、高い美容効果にも期待されています。
グルタチオンの効能を支えている最も重要な作用が「抗酸化作用」と言われています。
日焼けによるシミをケア!
太陽の日差しを長く浴びると、肌が日焼けするということは殆どの方が経験と思いますが、これは太陽の紫外線の刺激によって皮膚の中で”メラニン”という黒い色素がどんどん作られているためです。
シミというと悪いイメージを持たれてしまいますが、肌を黒くして紫外線のダメージを防ごうとする自己防衛システムであることは知っておいて下さい。
皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層からなっていますが、紫外線の刺激を受けると大量の活性酸素が発生し、表皮の最も深い部分にある「メラノサイト」と呼ばれる細胞でメラニンが産生されてしまいます。
グルタチオンには、メラニンの沈着を抑える働きがありますが、これはメラニンが産生の際に作用するチロシナーゼという酵素の活性を、グルタチオンが阻害する為と考えられています。グルタチオンの構成成分の1つでもあるシステインにも、単独でチロシナーゼの活性を抑える力があると言われていますが、グルタチオンの効果の方が強いとされています。
さらに、グルタチオンにはメラノサイトを刺激してメラニンを増やす原因である活性酸素の除去する働きもありますので、シミの予防・改善の両方に効果が期待されています。
シワ・たるみを予防
美白効果に注目が集まりがちなグルタチオンですが、シミやたるみの予防にも有効です。
肌の本体をなしているのが真皮であり、真皮の7割がコラーゲンに占められています。
真皮の中で繊維状のコラーゲンは、スプリングのような役割を担っており、肌のハリや弾力を保つ原動力となってします。
コラーゲンが減少する主要因として「加齢」が知られていますが、紫外線による活性酸素も次に大きな要因となっています。活性酸素が過剰になるとコラーゲンを酸化して、弾力を奪ってしまいますので、肌のハリが失われ、シワやたるみの原因となるのです。
グルタチオンの強力な抗酸化作用は、真皮の中でも効果的に働くと考えられており、グルタチオンの摂取によって真皮中の活性酸素を効率よく消去できれば、コラーゲンの減少を最小限に抑えられ、シワやたるみの予防に大いに役立ちます。
鉄欠乏性貧血の改善をサポート
鉄欠乏性貧血は女性によくみられる症状です。
文字通り鉄分の不足によって、血液中で酸素を運んでいる赤血球を十分に生産できなくなり、全身の組織が酸欠となって貧血症状を起こす病気です。
女性の場合、生理・月経によって定期的に血液とともに鉄分が失われるため、男性よりも鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。
特に偏食や極端なダイエットなどで栄養が偏っている女性にはよく見られます。
グルタチオンの摂取によって鉄の吸収率を高め、鉄分の輸送を担うトランスフェリン飽和度、鉄分の貯蔵庫であるフェリチンの量、そして全身に酸素を運んでいるヘモグロビンの量が改善されたとの研究データがあります。
医薬品としてのグルタチオン
サプリメントなどに用いられるグルタチオンは酵母発酵によって生産されていますが、医薬品としてのグルタチオンは微生物培養により生産されています。
医薬品であるグルタチオンの効果・効能としては、肝臓病をはじめ、薬物及び重金属中毒、皮膚疾患、さらに放射線による白血球減少など幅広く使用されており、副作用が少ない薬としても知られています。