変形性関節症からの救世主とは?
今回はグルコサミン・コンドロイチン・変形性関節症の全体的の関係性を見ていきます。
グルコサミンとコンドロイチンは変形性関節症の改善に効果が期待される一方で、「効果なし」という研究データもあるようですが、可能性について考えてみましょう。
そもそもなぜこれほどグルコサミンやコンドロイチンに期待が寄せられているのかということにですが、変形性関節症に対してグルコサミンやコンドロイチンは改善が期待されており、医療機関での処置だと一時的になってしまうからではないでしょうか。
つまり一般的な治療法とは、症状や疾患の真の原因となっているものを直したり取り除いたりする「根本療法」ではなく、表面的な症状の消失あるいは緩和を主目的とする「対症療法」になってしまうのです。
関節における軟骨の役割とは?
健康的な軟骨は、硬い骨の間でスポンジのような役割を担っていると例えられますが、このスポンジである軟骨は滑液(かつえき)を含んでいて、関節に圧力がかかると液体が押し出され、圧力が解けると水分が再び軟骨に流れ込むため、このように例えられています。
軟骨の表面は氷と氷が滑るよりも、5~8倍なめらかだと言われています。
私たちの体では様々な種類の軟骨が、色々な役割を果たしていますが、関節部にある軟骨は特に「関節軟骨」といい、関節がスムーズに動くために必須なのです。
軟骨の水分のほかにコラーゲンとプロテオグリカンが主な成分で、これらによって軟骨は弾力性と緩衝性が与えられ、軟骨基質を形成しています。
グルコサミンの重要性
グルコサミンはプロテオグリカンの生成に欠かせない存在で、軟骨基質内に水分を閉じ込めるグリコサミングリカンというタンパク質の生成にも必要です。
また、プロテオグリカンやグリコサミングリカンの生合成に必要な材料を提供するだけではなく、グルコサミンの存在自体が軟骨細胞を刺激して、これらの物質の生成を促します。
グルコサミンが豊富に存在すればプロテオグリカンもたくさん生産され、より多くの水分を軟骨内に保つことができます。
他にも、グルコサミンは軟骨代謝をコントロールし、軟骨の退化を防ぐ働きもあります。
コンドロイチンの重要性
グルコサミンが軟骨のプロテオグリカンの形成に携わるのに対して、コンドロイチンは水分を吸引する磁石のような働きを担っています。
コンドロイチンは糖の鎖のような構造をし、プロテオグリカン分子に水分を送り込む重要な役割がありますが、同時に軟骨内に栄養素を運び込む仕事も持っています。
関節軟骨には血管が通っていないため、関節にかかる圧力が変わる度に軟骨に入っては出ていく液体から栄養をもらうしかありません。この液体なしでは、軟骨は栄養失調になり、脆くなってしまいます。
また、軟骨分解酵素を阻害することで現在ある軟骨が早期に分解されるのを防いだり、加齢に伴って起こる軟骨細胞の死滅を防ぐ働きなども持ち合わせています。
グルコサミンとコンドロイチンの相乗効果!
変形性関節症になってしまうと軟骨基質には明らかな異変が起こってしまいます。
軟骨を形成する積み木ともいうべきプロテオグリカンやコラーゲンの生成が間に合わず、軟骨内の成分バランスが崩れてしまうのと同時に軟骨を分解する酵素が活発になり、手当たり次第に軟骨を破壊してしまいます。
このように二重に問題が生じてしまっている場合、二重の対処が必要となり、グルコサミンとコンドロイチンの出番なのです。
肯定的な研究報告では、一方は軟骨の形成を促し、一方は軟骨分解酵素の働きをコントロールする、つまりグルコサミンとコンドロイチンは互いに協力し合って、軟骨基質を正常化し、細胞レベルで改善に導くとされています。
グルコサミンやコンドロイチンは別々に摂取しても効果は期待できますが、合わせて摂取することで薬や手術では解決できなかった変形性関節症に対処できるのです。
日常生活の見直しも欠かせません。
適度な運動
適度な運動は、関節を丈夫にする優れた手段です。
関節に体重がかかると、軟骨からスポンジを絞るかのように液体が押し出され、体重を逃がすと液体は再び軟骨に吸収されます。この液体の移動は、軟骨を常に潤った状態に保ち、乾燥やダメージから守るのです。
また、運動は関節の周りの構造を丈夫にし、関節にかかる負担を減らします。
理想的な体重を維持する
体重が軽ければ、膝や股関節のように体重がかかりやすい関節の負担は軽減されます。
逆に体重の急な増加や肥満は、とくに膝における変形性関節症を起こしやすくします。